「らくちん社長-賃金決定」ご検討のための参考資料

まえがき

この度は、弊社の「らくちん社長-賃金決定」をご検討いただきまして誠にありがとうございます。

「らくちん社長-賃金決定」はヨドック社の「人財管理システム」の中核商品として、主に中小企業向けに開発したものでありますが、中小企業にとってはあまり馴染みがない、つまり「その良さが分かりにくい」場合があります。

この製品は、中小企業の社長ご本人(あるいは社長に極めて近い側近の方)が自ら操作することを想定しておりますので、社長ご本人がよく理解しないと本来的な能力を発揮しきれない、という側面があります。社長ご自身がその必要性を強く感じれば、非常に有効な経営ツールになりますが、感じなければ、面倒なだけのソフトになります。ここでは、これらの、ともすれば理解しにくい点を解説し、当製品をご検討いただく場合の前提条件や問題点、および検討段階において予想される誤解、お客様のご担当の方が社内行うご説明のポイントなどをまとめてみました。

商品機能に対する一般的誤解

「人事システム」と称しますと、とかく誤解されがちな点が5点あります。

  1. 給与支払い業務
  2. 勤怠管理の自動化
  3. 人事考課の自動化
  4. 昇進の自動決定
  5. 昇給額の自動決定

1.給与の支払い業務

「人事」というと、すぐにそれは「給与支払い業務」だと勘違いする場合が多くあります。特に中小企業では、規模が小さい場合は、社長が会社の各従業員のことを隅々まで把握しておりますので、人事システムそのものの必要性がない場合があります。こういう情況が長く続きますと、「人事イコール給与」との思い込みが出てきます。
給与支払い業務は、どの会社でも必要で、現実には中堅企業のほとんどの会社で既に導入済みであります。20人以下の中小企業ではまれに導入していない場合もありますが、いずれにしろ、これは「人事システム」とは呼びません。「給与の支払い業務」は、たまたま扱っている金額が「賃金」であることから、人事と混同しがちですが、これはむしろ経理や総務、仕入に近い仕事で、あくまで「カネの支払い業務」であり、従業員の能力や業績を管理するものではありません。給与支払いシステム(一般には勤怠管理システムを含む)は、超過勤務などのタイムカードの記録や休暇の取得記録、休日出勤や振替代休などの記録管理、およびそれに基づいた残業代や遅刻控除、源泉徴収、福利厚生、保険料の引き落とし、給与の銀行振込や借金の相殺などの「事実として発生したこと」の記録と集計であります。
「らくちん社長-賃金決定」にはこれらの機能はありません。これらの機能は全ての企業で必要とされるものですが、これは「らくちん社長-賃金決定」ではなく、別のシステムにおいて解決されるべきものです。
「らくちん社長-賃金決定」がいわば「従業員の公平な賃金の決定システム」であるのに対して、給与支払いシステムは「決められた賃金要素を集計して支払うシステム」です。つまり、「らくちん社長-賃金決定」で各従業員の「基準内賃金」と各種手当を公平に決定し、その結果を給与支払いシステムにデータ転送し、この賃金データと、勤怠管理システムからの勤怠データとの両方に基づいて、給与支払いシステムを運用するという関係です。


2.勤怠管理の自動化

勤怠管理の自動化は、タイムカード・システムなどの機械システムと関連したソフトの機能であり、これは人事とも給与支払いとも違います。また実際の従業員の就業状況は、タイムカードだけからはほとんど把握できませんので、現実には、その部署の上長が部下の働き振りを観察した結果、これは「超過勤務」なのか、あるいは、ただ単に「居残っていただけ」なのかを判断する訳ですから、タイムカードに記録された数字の計算だけで完結する話では有り得ません。
勤怠管理が「記録」業務であり、給与支払いが「集計」業務であるのに対して、人事システムは「判断」業務であります。
また、勤怠管理が「係長」の仕事であり、給与支払いは「経理課長」の仕事であるのに対して、人事は「社長」の仕事であります。
お客様が、これらの観点の違いを理解しないままに、「らくちん社長-賃金決定」をご検討になっても、社内での議論が最初から噛み合わない、ということになりがちです。ので、この点はよくよくご留意頂きますようお願い申し上げます。


3.人事考課の自動化

まず、「人事」は基本的には今も昔も極めて人間的な判断であるということです。つまり「考課や昇進などの自動化」はあらゆる観点から、ありえません(計算の自動化はありますが)。戦国時代には人事管理ソフトこそありませんでしたが、「人事システム」は武将の頭の中には「理念」として歴然と存在しておりました。その証拠に織田信長などもバカな部下を決して昇進させていないからです。この点は現代でも何ら変りません。ただ、現代は、それを「人事規程として明文化」し、かつ規程に基づいた計算を機械で「自動化」しただけの話であります。
部下の「何を評価」するかは、業態や職種、時代や経営のフェーズによって変ります。乱世と平時では必要とされる能力が異なるからです。従って、人事考課はあくまで人間的に判断するべきことです。ただ、ある程度の「枠組み」がないと、過剰に、あるいは過小に評価して、他の従業員とのバランスが「意図せず」崩れてしまう危険性があります。これを防ぐ意味で、他者との評価の相対差が一望にして検証できればその分、間違いが少ない、ということになります。また評価基準を数字で明確に定義しておけば「えこひいき」も減り、客観的で、従業員の納得も得やすいものとなります。


4.昇進・昇給の自動決定

暴力団と検察では、部下の評価基準は逆になります。また女性歌劇団員と、相撲取りと、研究所の学者では、評価項目も基準も変ります。鵜と鷹とダチョウは同じ基準で優劣を論じられません。女性歌劇団員に偏微方程式を理解する能力は問われませんし、相撲取りに愛嬌やスタイルの良さは問われません。研究者にとって体重と身長は評価基準になりません。鵜に走行能力を問い、鷹に潜水能力を問い、ダチョウに飛翔能力を問うても無意味であります。つまり、人事に関する評価項目をソフト開発者が決めることは元々無理なことであります。が、お客様自らがそれを定義して決めた場合に、その項目の定義や記録、一旦決めた基準での素早い計算などの事務環境や道具建をそろえておけば、人事考課の誤りが減り、公平な考課が期待でき、かつシミュレーションの計算が速く正確になり、喜ばれます。これらの機能を現実に提供するのが「らくちん社長-賃金決定」の役目となります。


5.お客様への支援態勢

ヨドック社は、「人財管理システム」(らくちん社長-賃金決定)という業務ソフトの開発・販売をする会社ですので、コンピュータ・システムのハード(CPUやLANなど)やオペレーティング・システム(Windowsなど)の導入に関する支援は致しておりません。またお客様においても、パソコンは既に導入済みの場合が多く、この種の支援は不要と思われます。
一番、必要となる支援は、お客様の人事システムの現状を、どういう評価係数の設定で、「らくちん社長-賃金決定」に移植するか、ということであります。
人事は、経理や製造技術、情報処理などのように、特種な技術や専門用語を駆使する業務ではありません。要は誰がどういう仕事に向いているか、とか、誰の業績が良かったか、とか、誰をいくら昇給するか、とかいう、極めて日常的な用語と基準と判断を用いる業務ですから、「らくちん社長-賃金決定」の操作画面に表示される入力項目の意味が全く「不明」ということはあまり考えられません。
細かいことでは、指定項目間の連動関係などで不明確な要素があったとしても、操作マニュアルを半日も熟読していただければ、その意味は自ずと分るはずの範囲でございます。
むしろ、大変なのは、「ソフトの導入以前の問題として」、「そもそも人事システムがない」場合です。この場合は、「ソフトの導入に関する支援」というだけでは十分とはいえません。ソフトウエアはあくまで道具です。人事の基本方針や方法論が定まっていない状態では人事ソフトを運用することは事実上無理となります。このような場合は、「人事に関するコンサルティング」を受けられることをお奨め致します。
弊社は、お客様のご要望がある場合は、この「人事のコンサルティング業務」も手掛けております。