第10章 特殊処理

1.    特殊処理.. 10-3

社員異動記録現行作成... 10-4

社員手当対象現行作成... 10-4

社員スキル記録現行作成... 10-4

社員家族記録現行作成... 10-5

社員給与記録再計算... 10-5

社員賞与記録再計算... 10-6

給与関連データ仕掛かり表示... 10-6

 


1.     特殊処理

「特殊処理」は、本来はシステムが自動的に判断し自動的に実行するべき機能を、お客様の判断で実行する場合に利用します。

各種区分コードの内容や、賃金水準の変更、社員のスキルや地位に異動があった場合は、大抵は、その結果を賃金に自動的に反映します。この反映のタイミングは、「らくちん社長-賃金決定」が内部的に判断して適宜、再計算を実行しますが、場合によっては、そのタイミングがお客様のご都合に合わない場合があります。

また、システムに不具合は付き物です。「らくちん社長-賃金決定」自体に不具合が発生する場合や、お客様が変則的な使い方(外部システムなどで、「らくちん社長-賃金決定」データを直接更新するなど)をしたことでデータの整合性がなくなる場合もあります。さらに、Windows自身の不具合が原因になる場合もあります。

このような事態は、システムが自動的に判定する訳ではなく、あくまで、人間系の「気が付き」で、気づく以外にありません。万一、お客様の人事担当者が「気が付かない」場合は対処のしようがありませんが、気が付いた場合は、この「特殊処理」を実行しますと、各種の関連データと賃金データとの間に矛盾がないように整合性のとれた状態にするこができます。

尚、上記のような「更新のタイミングの問題」や「システムの不具合」などが無いにも拘わらず、この特殊処理を実行したとしても、データの整合性には一切の悪影響はありません。ただし、計算には長時間を要する場合がありますので、ご留意願います。

以下の機能を用意しました。

l               社員異動記録現行作成

l               社員手当対象現行作成

l               社員スキル記録現行作成

l               社員家族記録現行作成

l               社員給与記録再計算

l               社員賞与記録再計算

l               給与関連データ仕掛かり表示

社員異動記録現行作成

社員異動記録は、異動の最新の現行状態を一番上に表示し、過去の経緯をその下に一覧で表示します。

異動があった場合は、この一覧の1番下のラインに新たな異動記録を入力します。まれに、既存のレコードを修正する場合もあります。いずれにしろ、記録に変化があった場合は、システムはその変化の時期を計算して、現在の状態に影響がある場合は、現行状態を最新のものに更新します。この更新は、異動記録を修正した後、社員異動記録の画面を終了する時に自動的に実行します。

従って、通常は、常に最新の状態を保つようになっております。が、本節の前提にあるような、変則的な状態になった場合に、この「社員異動記録現行作成」を実行しますと、人事異動の現行状態を強制的に最新の状態にします。

尚、この場合、給与および賞与の再計算は連動しておらず、別途、社員給与記録再計算および社員賞与記録再計算で行います。

社員手当対象現行作成

「社員手当対象現行」という名称の記録は「らくちん社長-賃金決定」の画面としては存在しませんが、内部的な制御情報としては存在します。この制御情報はテーブル状の記録で、「どの社員には、最大、どういう種類の手当が適用可能か否か」ということを網羅したものです。

人事異動などで、社員の社員区分や職能格、職位など社員の各種属性に変化があると、その属性の違いにより、該当社員に支給する手当の種類や支給額が変るのが普通です。平社員には支給しても課長以上の役職者には支給しないという種類の手当は一般に珍しくありません。

社員にこのような手当変更を伴う異動があった場合は、システムはそれを自動判断して、各種の手当支給の可否を自動計算します。仮に、平社員から課長に昇進したような場合は、上記のような平社員にしか支給しない種類の手当は、自動的に支給停止にします。

本来のこの機能が、本節の前提にあるような変則的な状態になった場合に、この「社員手当対象現行作成」を実行しますと、この記録を強制的に最新の状態にします。

社員スキル記録現行作成

人事異動とは別に、社員のスキルや免許・資格に変更や追加があった場合は「社員スキルの登録」を行います。

先の「社員手当対象現行」でも説明したとおり、スキルの中には、社員区分や職能格などの社員の立場によってその「免許・資格・スキル手当」の支給基準に違いがあります。通常は、画面終了後にシステムがそれを自動判断して、スキルそのものの記録は保存しても、それが手当支給の対象であるか否かは別のものとして判定します。「否」と判定した場合は、「スキル手当反映率」をゼロにセットします。

本来のこの機能が、本節の前提にあるような変則的な状態になった場合に、この「社員スキル記録現行作成」を実行しますと、この記録を強制的に最新の状態にします。

社員家族記録現行作成

人事異動とは別に、家族構成に変更や追加があった場合は「家族情況記録の登録」を行います。

先の「社員手当対象現行」でも説明したとおり、家族手当は、社員区分や職能格などの社員の立場によってその支給基準に違いがあります。通常は、画面終了後にシステムがそれを自動判断して、家族記録そのものの記録は保存しても、それが手当支給の対象であるか否かは別のものとして判定します。「否」と判定した場合は、家族手当は支給しません。

本来のこの機能が、本節の前提にあるような変則的な状態になった場合に、この「社員家族記録現行作成」を実行しますと、この記録を強制的に最新の状態にします。

社員給与記録再計算

異動記録やスキル記録、家族記録などの「周辺記録」は全て、最終的には、給与記録にその関連する手当額を反映することを目的にした記録です。社員の記録に変更を加える場合、例えば入社手続きなどの場合は、これらの周辺記録は一度に全部登録します。また昇進などの場合も、これらの周辺記録は一度にかなり多くの記録を変更します。この場合、一つの周辺記録を更新する度に、給与の再計算をしていますと、仮に、一人の社員に関して五つの別々の記録を更新した場合、その度に5回の再計算をすることになります。これでは二度手間以上に「五度手間」になります。

これを避ける為に、これらの周辺記録を更新した場合は、「『後刻処理』として給与記録の再計算が必要である」という印を、システムの内部に一時保管しておき、当システムの業務全体を終了する時に、一度に給与の再計算をするように設計してあります。

ところが場合によっては、業務全体を終了する以前に、社員の最新の給与額を参照する場合があります。この場合に、この「社員給与記録再計算」を実行すると、周辺記録の更新による手当額の変更などを全て反映します。

「給与決定」を行う場合は、システムが当処理の自動実行の可否を判断し、必要に応じて自動実行します。

本来のこの機能が、本節の前提にあるような変則的な状態になった場合に、この「社員給与記録再計算」を実行しますと、この記録を強制的に最新の状態にします。

社員賞与記録再計算

「社員給与記録再計算」の場合と同様に、賞与額に関連する周辺記録が更新になった場合に、「後刻処理」として自動実行する処理です。しかも、その周辺記録が同時に給与記録にも影響がある場合は、前記の「社員給与記録再計算」もまた同時に自動実行します。

「賞与決定」を行う場合は、システムが当処理の自動実行の可否を判断し、必要に応じて自動実行します。

本来のこの機能が、本節の前提にあるような変則的な状態になった場合に、この「社員賞与記録再計算」を実行しますと、この記録を強制的に最新の状態にします。

給与関連データ仕掛かり表示

上記に説明したところの、最終的には給与記録および賞与記録に反映するべき「周辺記録」に、変更があった場合、これらの周辺記録の更新を「そのまま」にして、後刻処理としての「社員給与記録再計算」や「社員賞与記録再計算」を未実行のまま「仕掛かり中」にして放置するか、あるいは別の処理をする場合があります。

この場合に、「一体、どの更新要素を仕掛かり中のまま放置しているのか」を「確認のため」に表示します。

関連する更新要素の名称は全部、一画面上に表示してあり、その名称のコントロールの頭にあるチェックボックスがOnになっている更新要素を「仕掛かりの原因」として表示します。多くの更新要素は相互に影響しあっているので、これらの更新要素の一つだけがOnになる場合は少なく、大抵は同時に複数要素がOnとなります。