第9章 関連業務の登録と起動

1.    関連業務の登録と起動.. 9-3

関連業務との連携の必要性... 9-3

関連業務とは... 9-3

連携とは... 9-4

旧来の問題点... 9-5

あるべき姿... 9-5

現実の問題... 9-5

関連業務メニューコマンドの登録... 9-6

メニューのヘッダー名... 9-7

メニューの背景色... 9-7

ヘッダーの補足説明文... 9-7

補足説明文の前景色... 9-8

ボタン番号... 9-8

コマンド・タイトル... 9-8

可視... 9-8

使用... 9-9

キャプションの前景色... 9-9

フォント・サイズ... 9-9

コマンド・ライン(外部業務のファイルのフルパス名)... 9-9

ヒント文... 9-10

ファイル作業域(ファイル参照)... 9-11

関連業務の起動... 9-11

1.     関連業務の登録と起動

「関連業務の登録と起動」は、「らくちん社長-賃金決定」をご利用中に、お客様での他の人事関連業務(「らくちん社長-賃金決定」以外の給与支払い業務や勤怠管理業務など)に制御をわたし、相互に人事データを参照する場合に利用します。

関連業務との連携の必要性

関連業務とは

「人財管理システム」は、販売管理や経理などの日々の営業活動や管理活動に伴い多量の伝票が発生する日常業務とは異なり、データ更新の回数が比較的少なく、また、販売管理や経理が互いにデータ(伝票)を共有しており、データ的にもまた業務の連続性においてもその連携の度合いが大きいのに比較すると、密接に連携する関連業務が少ないのが特徴です。

密接に連携する関連業務が少ないとは言え、経営に関するデータでは、その他のシステムとは「全く独立して無関係」というシステムというのは有り得ず、必ず、関連する業務があります。

「らくちん社長-賃金決定」は、「人財管理システム」の一環ですが、事務的な意味での主目的が、社員の「合理的および公平な賃金の決定」ですので、「給与支払いシステム」および「勤怠管理システム」とは密接な係わり合いを持ちます。

これらのシステムは、往々にして、いわゆる「人事システム」と混同しがちですが違います。

給与支払い業務は、どの会社でも必要で、現実には中堅企業のほとんどの会社で既に導入済みであります。30人以下の中小企業ではまれに導入していない場合もありますが、いずれにしろ、これは「人事システム」とは呼びません。「給与の支払い業務」は、たまたま扱っている金額が「賃金」であることから、人事と混同しがちですが、これはむしろ経理や総務、仕入に近い仕事で、あくまで「カネの支払い業務」であり、従業員の能力や業績を管理するものではありません。給与支払いシステム(一般には勤怠管理システムを含む)は、超過勤務などのタイムカードの記録や休暇の取得記録、休日出勤や振替代休などの記録管理、およびそれに基づいた残業代や遅刻控除、源泉徴収、福利厚生、保険料の引き落とし、給与の銀行振込や借金の相殺などの「事実として発生したこと」の記録と集計であります。

「らくちん社長-賃金決定」にはこれらの機能はありません。これらの機能は全ての企業で必要とされるものですが、これは「らくちん社長-賃金決定」ではなく、別のシステムにおいて解決されるべきものです

「らくちん社長-賃金決定」がいわば「従業員の公平な賃金の決定システム」であるのに対して、給与支払いシステムは「決められた賃金要素を集計して支払うシステム」です。つまり、「らくちん社長-賃金決定」で各従業員の「基準内賃金」と各種手当を公平に決定し、その結果を「給与支払いシステム」にデータ転送し、この賃金データと、「勤怠管理システム」からの勤怠データとの両方に基づいて、給与支払いシステムを運用するという関係です。

勤怠管理の自動化は、タイムカード・システムなどの機械システムと関連したソフトの機能であり、これは「人事」とも「給与支払い」とも違います。また実際の従業員の就業状況は、タイムカードだけからはほとんど把握できませんので、現実には、その部署の上長が部下の働き振りを観察した結果、これは「超過勤務」なのか、あるいは、ただ単に「居残っていただけ」なのかを判断する訳ですから、タイムカードに記録された数字の計算だけで完結する話では有り得ません。

勤怠管理が「記録」業務であり、給与支払いが「集計」業務であるのに対して、人事システムは「判断」業務であります。

また、勤怠管理が「係長」の仕事であり、給与支払いは「経理課長」の仕事であるのに対して、人事は「社長」の仕事であります。

このように、これらの業務は、一見似たように見えても、内容が違いますので、本来、同じシステムで同じ担当者が業務の執行をする、というのは無理があります。しかしながら、中小企業においては、各業務ごとに専任の担当者を置くということは非効率であることから容認しがたいのが現状ですので、現実には、同じ担当者が複数の業務を効率的にこなすことが望まれます。

複数の業務を一つのシステムにまとめてしまうと効率が良いように思い勝ちですが、違います。システム自体が大きく成り過ぎすると処理スピードが落ちるなどの弊害も出てきます。また、人員に余裕が出来て、複数の担当者で業務を行ったり、別々の場所で違う業務を行ったりする場合は、その業務ごとにシステムが分かれている方が、権限や責任の混同が起こらないので、効果的に仕事が遂行出来ます。つまり、「給与支払いシステム」や「勤怠管理システム」が、いわゆる「人事システム」とは別システムとして分かれているのは、それなりに合理的である、ということです。

連携とは

ここでは、複数のシステムを、一人の担当者で仕事をする場合を想定します。説明を分かりやすくする為にここでの関連業務とは「給与支払いシステム」という前提にします。

この「給与支払いシステム」が、お客様ご自身が開発した、例えば、Excelのような表計算ソフトで作成したものと想定するとより分かりやすくなります。

旧来の問題点

「らくちん社長-賃金決定」で、社員の給与やボーナスを決定した後、このデータは、必ず、「給与支払いシステム」に反映する必要があります。この場合、ともすると、旧来の発想から、人事システム(ここでは「らくちん社長-賃金決定」)で決定したデータを一旦印刷し、その印刷資料から、再度、「給与支払いシステム」(一般には経理のサブシステムであることから)のための入力伝票を起票し、その起票した入力伝票を見ながら、事務員がまた、給与支払いシステムを新たに立ち上げてデータを打ちこむ、という非効率なプロセスをたどることになります。

これでは、何の為に、「人事システム」や「給与支払いシステム」を電算化(システム化)したのかが分からなくなります。

あるべき姿

理想的には、「給与支払いシステム」を立ち上げた場合は、「らくちん社長-賃金決定」で決定した給与やボーナスのデータが既に、自動的に、反映されていなくてはなりません。これが理想的な「連携」です。

「らくちん社長-賃金決定」で決定した給与やボーナスのデータは、当システムが提供する「汎用データの作成」機能を利用すると、お客様が希望するディスク上(ここではA:とします)に書き出することが出来ます。仮にこのデータがボーナスだと想定しますと、そのファイル名は、自動的に、

A:社員賞与記録.csv

となります。

このファイルをお客様がWidowsExploreの画面からマウスでクリックしますと、Microsoft Excelでの表形式で表示します。

さて、ここで、お客様が「給与支払いシステム」を仮にExcelで開発したと想定した場合で、この「らくちん社長-賃金決定」で外部出力するExcel形式のファイルをそのまま利用すると、上記の処理操作の手続きがそのまま、業務と業務データの連携になります。

この場合、お客様がWindowsExploreの画面を見ながら操作するか、あるいはWindowsの壁紙にお客様が独自にアイコンなどを作成して、この連携作業の業務環境を設定すること可能です。が、この業務メニューを「らくちん社長-賃金決定」の中に取り込むと、その業務作業の連続性という意味でも、錯誤が少なくなるという意味でも、そして、業務運用環境の変化に伴って容易にメンテが可能であるという意味でも、「当システム自身の中に関連業務メニューを設定する」という理由から大変有益です。

現実の問題

上記の例として説明しましたような「給与支払いシステム」をお客様が独自に作成することは可能ですが、一般には容易ではありません。

現実には、市販の給与支払いシステム(パソコン用)や、あるいは、お客様が独自に設計したオフィース・コンピュータなどでの外部(給与)システムへの入力ファイルを生成することになる場合がほとんどです。

この場合、これらの外部システムの入力ファイルは、この「らくちん社長-賃金決定」の「汎用データの作成」で作成した出力ファイルの書式と同じであるハズはありません。そこで「らくちん社長-賃金決定」が出力したファイルを、これら外部システムの入力ファイルの形式に変換するためのプログラムを先に起動する必要があります。そしてこの変換プログラムが完了した後に次ぎの「給与支払いシステム」が自動的に稼動するように運用環境を設定すると良い訳です。

この変換プログラムはExcelBasicなどで開発する必要がある他、このプログラム終了後に本来の給与支払いシステムが自動実行するようなWindows上の環境設定は、MSDOS環境でのBatch Fileを作成する必要があります。

関連業務メニューコマンドの登録

さて、関連業務の連携を容易な操作で行うためには業務メニューの利用が便利です。「らくちん社長-賃金決定」では、お客様独自の業務メニューを作成することが出来ます。メニューの名称(画面左上のキャプション)は「関連業務リンク・メニュー」と決まっており、またメニュー内のコマンドボタンの配置も決まっております。各コマンドボタンは、業務メニュー(「関連業務の起動」è「関連業務リンク・メニュー」)で起動することが出来ます。

この「関連業務リンク・メニュー」は、縦2列、横7行からなるコマンド・ボタン群を配置し、各ボタンの名称は一時的に「関連業務n」となっており当初は「使用不可能」に設定してあります。

お客様は、業務メニュー(「関連業務のメニューコマンド登録」è「ユーザ・メニューコマンド登録」)により、このコマンドボタンの名称と、このコマンドボタンによって起動する外部システムのプログラム・ファイル名および実行パラメータ(外部出力したファイル名など)を登録することができます。

「ユーザ・メニューコマンド登録」には、以下の指定項目と機能を用意しました。

l               メニューのヘッダー名

l               メニューの背景色

l               ヘッダーの補足説明文

l               補足説明文の前景色

l               ボタン番号

l               コマンド・タイトル

l               可視

l               使用

l               キャプションの前景色

l               フォント・サイズ

l               コマンド・ライン(外部業務のファイルのフルパス名)

l               ヒント文

l               ファイル作業域(ファイル参照)

メニューのヘッダー名

関連業務リンク・メニューのキャプション(画面左上端)は決まっておりますが、画面の上部中央の「メニューヘッダー」は、お客様の自由に設定できます。

既定値は「関連業務の起動」となっています。

例:「給与関連業務への連携」、「○○会社専用メニュー」

メニューの背景色

関連業務リンク・メニューの背景色をお客様の好みで決めることができます。コンボボックスで色メニューを用意してありますので、そこから選択します。

既定値は「モスグリーン」となっています。(テストモードの場合は、テストモードの背景色である「緑」が優先します)

原色や「ショッキング系の明る過ぎる色」あるいは「暗過ぎる色」は、眼精疲労の原因にもなりますので、ご使用にならないことを推奨致します。中間職の淡色をお勧めします。

ヘッダーの補足説明文

「補足説明文」は、ヘッダーの下に補足として小さい文字でこのメニューに関する説明文や注意文などの補足文を表示します。

既定値は
「これは、ユーザの登録(ユーザ・メニューコマンド登録)で、構成される画面です。」

となっております。

例1:「これは、○○会社独自の経理システムのメニューです。」

2:「株式会社○○○○のオフコン・システムに連携する業務メニュー」

補足説明文の前景色

補足文の前景色はお客様の好みで決めることができます。コンボボックスで色メニューを用意してありますので、そこから選択します。補足文は注意を引く為にヘッダー文とは違う、多少、派手な色使いをします。

既定値は「画面既定値」となっており、これは「白」です。

例:「白」、「黄色」、「水色」、「ショッキング・グリーン」

ボタン番号

関連業務リンク・メニューこの14個のコマンドボタンのID番号。

縦2列横7行のコマンドボタン群の、左上端(第1列1行目)のコマンドボタンを1とし、第12行目を2という順番で、最後は右下端(2列目7行目)のボタンとします。

お客様の関連業務のコマンドボタンの位置を設定します。

コマンド・タイトル

コマンドボタン上に表示するタイトルを登録します。

おおよそ10文字前後が適当です。15文字以上の長過ぎるタイトルは表示できない場合がありますので注意願います。

例:「給与支払い」、「勤怠管理」、「○○会社経理システム」

可視

コマンドボタンを使用する時は必ず「可視」(チエックボックス=On)を指定します。

「可視」=Offを指定すると、コマンドボタン自体の表示がなくなり、関連業務リンク・メニュー上から消えて、その部分が、メニュー地色のままの空白になります。

使用

コマンドボタンを使用する時は必ず「使用」(チエックボックス=On)を指定します。

「使用」=Offを指定すると、コマンドボタン自体の表示はありますが、タイトル文字が窪み、「使用不可」モード(つまり押せない)に変ります。

「使用」=Onにしますと、お客様がコマンド・ラインに指定した「プログラム・ファイル名」が実在するか否かを検証しにいきます。この段階で、当該プログラム・ファイルが存在しない場合は警告メッセージを出します。

この警告メッセージを無視して、お客様の責任において、強制的に登録することも可能です。むろんこの場合は、このコマンドボタンは正常に機能しません。

キャプションの前景色

コマンドボタン上のキャプション(コマンド・タイトルの文字)の色を選択できます。

既定値は「画面既定値」ですが、これは「濃紺」です。

業務の種類によって、あるいは重要度によって色分けすることが出来ます。

フォント・サイズ

コマンドボタン上のキャプション(コマンド・タイトルの文字)のフォント・サイズ(文字の大きさ)を選択できます。6以上16以下のサイズを指定できます。

既定値は「画面既定値」ですが、これは12です。

コマンド・ライン(外部業務のファイルのフルパス名)

「コマンド・ライン」という表現は、元来はMSDOSの画面から指定する入力コマンドを意味し、現在は、Windowsの壁紙上に表示するアイコンの、プロパティの一つである(「ショートカット」è「リンク先」)と同義であります。その機能は、「そこに指定したプログラム・ファイルを実行する」ということです。

プログラム・ファイルとは、Windowsフォルダー内の普通のファイルですが、そのファイルが実行プログラムである場合を言います。ファイル名のサフィックス(Suffix:接尾語)に「exe」または「cmd」がつきます。

例:「MSACCESS.EXE

このプログラム・ファイルは当然ながら、お客様が「らくちん社長-賃金決定」をご利用になるCPU内(あるいはサーバ内)のハードディスク上に存在しなければなりません。

警告メッセージを無視して、存在しないファイル名を指定することは可能ですが、むろんこの場合は、このコマンドボタンはエラーとなり機能しません。この「らくちん社長-賃金決定システムの環境設定」を行うCPUと、実際に運用するCPUが異なる場合は、このように存在しないファイル名を指定せざるを得ない場合があります。

「入力/編集」モードの場合、マウスを画面の中央部に合わせると、このコントロールは黄色の背景色になりますが、これは、画面下部にある「ファイル参照」(コマンドボタン)の出力対象域になることを示唆しています。マウスを画面下部に合わせた場合は、背景色は白色になります。

プログラム・ファイル名(フルパス名)は、多くの場合、非常に長い名称になりますので、この「ファイル参照」を利用するのが便利であり、かつ、入力ミスがなく安全です。

多くの場合、プログラム(プログラム・ファイルの内容)は実行パラメータを伴います。実行パラメータは、決してWindowsシステムでのルールではありませんが、Microsoft社製のソフト群は、この実行パラメータを用いることが普通で、しかも多くの場合、この実行パラメータには「処理対象となる業務ファイル名」を指定するように設計してあります。

実行パラメータは、プログラム・ファイル名の後にブランクを一つ以上空けて指定します。

お客様がプログラムを設計する場合、この実行パラメータに「何を指定すべきか」は自由に決めることが出来ます。それが処理対象となる業務ファイル名でもよいし、何かの符号のような記号でも、あるいは実行パラメータがなくても構いません。

例1(関連業務がAccessの場合):
C:\Program Files\Microsoft Office\Office\MSACCESS.EXE
  d:\udata\経理事務.mdb

2(関連業務がExcelの場合):
C:\Program Files\Microsoft Office\Office\EXCEL.EXE
  d:\udata\給与支払い.xls

3(関連業務がWordの場合):
C:\Program Files\Microsoft Office\Office\WINWORD.EXE
  d:\udata\辞令.doc

ヒント文

ヒント文は、関連業務リンク・メニューに登録したコマンドボタンにマウス・ポインタを当てた場合に、画面上に「ヒント」として表示する簡潔な説明文で、これを登録します。

既定値は、
「関連業務nのアプリケーションに制御がわたる。」
です。

例:「ここをクリックすると、オフコンでの(ボーナスの)経理処理の入力伝票ファイルを生成します」

ファイル作業域(ファイル参照)

ファイル名を参照する場合の作業域に利用します。

最終的には、コマンド・ラインにファイル名を指定しますが、コマンド・ラインはファイル名以外に実行パラメータも同時に指定します。コマンド・ラインに一旦、プログラム・ファイル名を指定してしまうと、実行パラメータ(がファイル名の場合は)の「ファイル参照」が出来なくなります。

この場合に、実行パラメータとしてのファイル参照を、このファイル作業域で行い、この作業域に一時保管したファイル名を(コピー・貼付け)機能で、もとのコマンド・ラインに複写します。

このコントロールにマウスを合わせるとコントロールの背景色が黄色になり、先のコマンド・ラインのコントロールが白色に戻ります。

尚、この(コピー・貼付け)機能は、マウスをファイル作業域(あるいはコマンド・ライン)に合わせ、右ボタンを押すとWindowsの機能メニューを表示しますので、この機能を利用します。

ファイル参照の詳細は(「第2章 画面の表示と基本操作」è「共通の操作と表示」è「画面の操作ボタン」è「ファイル参照」)を参照願います。

関連業務の起動

業務メニュー(「関連業務の起動」)を押すと、前記の「関連業務リンク・メニュー」を表示します。

このメニューのコマンドボタンは、全て、お客様が「関連業務メニューコマンドの登録」で登録したコマンドを表示します。

登録に誤りがある場合は、このメニューコマンドの実行時点で、エラーである旨の警告メッセージを表示します。